昨日、地元の富山で演奏会だったのですが、そこで演奏しました作品の詩を紹介いたします。
作曲は木下牧子先生で、詩人は工藤直子先生です。

僕は工藤直子先生の詩が大好きです。
「のはらうた」「てつがくのライオン」など多数持っていますが、公園に行くときにやカフェに行くときなどお伴になることが多い詩集たちです。
初めて知ったのは、小学校の教科書に載っていた「のはらうた」からの数点で「おれはかまきり」「ねがいごと」などで凄く印象に残ったのを覚えています。

工藤先生の詩は飾ることなく紡ぎ出される温かな詩でしょうか。
心が安らかになり、元気にさせてくれます。
本当に温かいのです。


「いっしょに」
 ここで ここで やすんでいきませんか
 すこし すこし おはなししませんか

 きのうみた ゆめのはなしや
 あしたの おてんきのこと
 かぜの はしるすがたや
 ひかりの こぼれぐあいについて
 そして あなたがどこからきて
 どこへいくのかなども

 ここで ここで やすんでいきませんか
 すこし すこし おはなししませんか
 ゆっくり ゆっくり うなずきあって
 しばらくいっしょに すごしませんか


「あいたくて」
 だれかに あいたくて
 なにかに あいたくて
 生まれてきた―――
 そんな気がするのだけれど

 それが だれなのか なになのか
 あえるのは いつなのか―――
 おつかいの とちゅうで
 迷ってしまった子どもみたい
 とほうにくれている

 それでも 手のなかに
 みえないことづけを
 にぎりしめているような気がするから
 それを手わたさなくちゃ
 だから
 あいたくて

2006.10.29 大畑 理博
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久しぶりの日記です。
みなさんお元気ですか?なんだか急に寒くなったので、周りでは風邪をひいている方。そして、乾燥していて風が吹くからか花粉症やアレルギーが出てる方。皆様お体にはご自愛ください。

先週の金曜日、Scheduleにもありましたが「シリーズ〈日本歌曲と音の魔術師たち〉團伊玖麿 V」というのに出演させていただきました。
1993年から続く<日本歌曲シリーズ>の第3弾で、2004年4月から始まっているシリーズの16回目だったのです。
かなり由緒ある演奏会で、しかも大御所の方々が次々出演なさっている演奏会。
こんな若僧が一緒に歌わせていただいていいのかと正直不安で一杯でした。

もう練習のときから迷惑かけっぱなしで本当に僕でいいのだろうかと当日まで心配でした。
しかし、中沢桂先生が「いいのよ。お若いし勉強ですもの」と温かいお言葉が。
この中沢先生。僕と年齢で言うと半世紀近く違うんです。
僕にしてみたら、雲の上の存在。日本歌曲全集というシリーズのCD等で勉強させていただいていた、僕を日本歌曲の虜にした歌手のお一人です。
そのような方からお言葉をいただけただけで嬉しくてたまりませんでした。

当日、リハーサルの時にはこれまた雲の上の存在の大大大御所、畑中良輔先生もいらしていてハラハラドキドキ。もうわけわかんない状態に・・・。
歌の台詞も真っ白になりながらがんばりました。

練習風景を袖から拝見させていただいて感じたことは、とにかく中沢先生の所作の一つ一つがキレイで「雅」なのです。「日本の動きの美」というものを感じました。それに加え、70歳を超えていらっしゃるにも関わらず、全く衰えることのない艶のあるお声と表現力には鳥肌が立ちました。本当に一緒のステージの上に立たせていただいていいのかと・・・。

リハーサルが終わってから中沢先生が僕のほうに近づいていらして、「あなた声はすばらしくよくちゃんとお歌いになっていらっしゃるけれど、所作、特に歩き方をお気を付けになられたほうがいいわ。もっと和の動きをね。腰を落として・・・」と動きに関して丁寧にご指導くださいました。
また、畑中先生も「君ね~歩き方がかっこよすぎだよ。もっと田舎臭くというか土臭くというか。。。どうもオシャレな銀座のボーイ(先生も80を超えてらっしゃるのでイメージなのでしょう)みたいだよ。こう腰を入れてすり足というかべた足というか・・・」とまたご指導いただきました。
 
僕にとってみたらお二方とも雲の上の存在。そんな方からご指導いただけるとは思ってもおらず、演奏会に参加出来、光栄なことであったと心から痛感いたしました。また、まだ毛も生えていないような若造に、親身になって丁寧にご指導なさるその姿勢に僕はただただ感動いたしました。
人間として棘のない飾らない優しさと、音楽に対する情熱。そしてそれに対する姿勢。これを半世紀以上続けていらしたんだと思うと、僕には到底出来ないような、見習わないといけないところだと感じました。

共演させていただいた、川上先生、天田先生(動きや状況などの表現など親身になって教えてくださいました。)、馬場さん、篠原さん、西野さんにもこれまでの経験からの様々なことを教えていただき、また、なかなか音の取れない僕を最後までフォローしてくださった相庭先生、ならびに演出のご指導くださった大島先生に感謝申し上げます。

最後になりましたがこの演奏会の機会を与えてくださった<友>音楽工房の堀内美也子さんにこの場をかりて。
「ありがとうございました」



2006.10.27.大畑 理博 2006_10_20.jpg