実名でUPしようか躊躇しておりましたが、尊敬の意を込めてUPいたします。


今月はじめ。誕生日の前日に「瑞穂の会’IOX-AROSA 2007」の演奏会に行ってまいりました。
僕も以前3回ほど出演させていただいたことのある演奏会です。
他の演奏会と重なっていた事もあり全部は見れませんでした。

その出演者のお一人に山口久美子さんというソプラノ歌手がいらっしゃいました。
以前から僕の大好きな歌手のお一人です。
何時も明るく笑顔でお話になり、どこまでも澄み切った通る声の中に、篤いパッションを持ってお歌いになります。
プログラムでは「風」をテーマになさった3曲を演奏なさり、絵本を読み聞かせていただいているようなそんな感じ。
でも物凄く篤い何かが伝わってきて、僕の心の中に燻るところに圧倒されました。
自然な涙が出てきました。

ただひとつ気になったのは、僕の知っている山口さんは立ってお歌いになるのに今回は座ってお歌いになったこと。

休憩の時間になりロビーに行ったところ、その山口さんは車椅子でした。
僕は不思議でならなかった。何故だろうと。

皆さんとお話になっていたので、落ち着いてからと話しかけました。
その何も考えずに発した一言が迂闊でした。

「どうも山口さんお久しぶりです。お元気ですか?」

その問いに、山口さんは

「見ての通り、正直元気じゃないのよ。」

と笑顔でお応えになりました。
僕は?(ハテナ)だらけになってしまいました。

「チラシ見た?私、ポストポリオなのよ。」

初めて聞いたその名前に僕はもっと混乱しました。
恥ずかしながら「ポリオ」という名前自体、あまりわからなかったのです。
その後、お話をさせていただいたり、家でネットで検索したりして様々なことがわかってきました。

「私ね、今日のこの舞台が大きいステージに立てる最後かも知れないと思って、覚悟を決めて歌ったのよ。今日歌えたことが凄く嬉しくて。前からずっと体調悪くて、今日も体が痛くて。補装具(コルセット)しながらじゃないと全身痛くて歌えないの。段々と弱っていってるのがわかるから支えられなくて、マイクを使わないで歌うのは困難になるのね。」

っと気丈にお話になった。
物凄く様々なことを超えてステージに立たれたからでしょうか。
晴れやかに、しかし、お疲れなのを見せずに、その様なことをお話になるのです。



僕は居た堪れなくなりました。
五体満足、いつでも歌えると思って過ごしてきて、いきなり歌えなくなるなんて思ったことが無かったので、今、目の前で僕が大好きな歌をお歌いになる方が、これからは今までのようには歌えないと覚悟を決めてステージに立ってらした。
その姿勢に自分の「うた」に対する姿勢と接し方のあまりに軽率だったこと。
もう恥ずかしくて仕方ありませんでした。

山口さんは覚えていらっしゃらないかも知れませんが、僕に突き刺さった言葉が会話の中にありました。

「なんでもいいの。歌える時にいっぱい歌わなきゃ。」

僕は、最近『教える』という仕事に追われているのを理由に全然歌いもせず。
『歌うことが大好き』で、高校から歌の勉強して大学、コンセルヴァトアールと経てきたはずなのに、現状は違っていて。。。
笑顔で仰っていたけれど、怒られていたのかもしれません。


山口さんにはもっともっと、いい歌をたくさん歌っていただきたいのです。
体調を考慮しながらですが。
僕に出来ることは、応援することだけ・・・。
大事なことをたくさん教えていただいたのに、なんだか自分の無力さが悔しいです。
でも、山口さんが仰ったように、僕には山口さん同様に『うたうこと』が与えられています。
もっともっと『うたうことの気持ち』を胸に一杯に、大事にしていきます。
山口さんからの誕生日プレゼントでした。



Beyond the Grey Sky
どこまでも続く青く澄んだ空の下にいくつもの人生が
Beyond the Grey Sky
喜び悲しみに 寄り添い支え合って共に生きる 共に生きる



ポリオ、ポストポリオに関して
http://www.ne.jp/asahi/porio-tomonokai/tokai/
http://www5b.biglobe.ne.jp/~polio/

2008.2.26.大畑 理博
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