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恩師 直野資先生 大学退任に寄せて

本日は僕に向かって
「お前『歌道』を究めろよ」
と緊張でガッチガチの入学したての僕に向かっていきなり仰った、
大学時代の恩師 直野 資先生の退任記念演奏会でした。



僕は受付スタッフとアンコールの合唱で参加させていただきました。
いやぁ…先生がこれからまた演奏活動に専念します披露会?と思うような圧倒的なスケールの演奏で、ビックリしました。
そして、お育てになった先輩や同期、後輩の素晴らしい声・声・声をたっぷり3時間出来るものでした。


コンサート中、そしてアンコールでは、10数年前の学生時代を思いだしながら、直野先生に教えていただいた沢山のことを噛み締めながら、感謝の念で一杯になりました。



ここからは思い出話なので長いです。
色々ありますが(笑)、その中から3つ。


一、
僕が柔軟な考え方を持てるように、教えて下さった先生のお一人です。
先生はイタリア作品が中心というイメージでしたので、そのような作品をレッスン曲に持っていっていたのですが、2年生の後期のレッスンの時に
「お前イタリアもの歌いたいのか?
俺はそうは感じられないなぁ。
次のレッスンまでに、好きな歌持ってこいよ。
イタリア語以外の発音は、教えてやれるほどわからないから自分でやれ。
その変わり音楽を教えるから!!」
と、気になっていた英語と日本語の歌曲を持っていきました。
すると
「そういうことだろ?
いつもよりイキイキしてるじゃねえか。
どうしてレッスンで歌わねぇんだよ。
俺じゃわからないと思ったか?
俺は先生だぞ!!(笑)」
それからは卒業するまで、英語と日本語の歌曲やオペラ、時々イタリア作品が中心のレッスンとなりました。
2年の試験で歌ったのは
ヴォーン・ウィリアムズの歌曲集『Song of Travel』の一曲目「Vagabond」。
先生方の中でも知っていらっしゃる方が少なく、誰しもが「?」になった作品です(笑)
3年の試験では木下牧子 先生の歌曲集『三好達治の詩による二つの歌』の「物語」。
この作品は出版されて間もない作品だったため、会場で聞いてくださった大半の方がやはり「?」が付いた状態になりました(笑)
講評を様々な先生のところにお伺いしたら、
選曲が面白くもっと取り入れるべき
と沢山の先生方に仰っていただきました。

林 康子先生
「あぁたね、知らない曲歌ってた子。不思議と退屈じゃなかったわぁ」

峰 貞子先生
「よい。あなたよかった。先生どなた?(「直野先生です」)あら、直野くんこんなのも教えられるのねぇ。直野くんからもっともっと沢山のこと吸収なさって。」

そして、学内演奏は香月修先生の歌曲や武満徹のソングなど、やはりこれまでに演奏されてこなかった作品たちだったようです。


二、
小さな眼鏡から覗く鋭い眼からの先生の口癖
「来いよ!!!」
「くれよ!!!」
ボリュームだったりの発声面なども、多少はあったのかもしれません。
でも今思い返すと、それだけじゃなく
「その歌で何がやりたいんだよ!!」
「伝えたいのはなんだよ!!」
「お前の考えてること表現しろよ!!」
って一言に様々なことを含ませ、意識改革をされていたのかもしれません。
「自己満足にするな!!」
という警鐘だったのでしよう。
「お前の歌はマスターベーションみたいで面白くないなぁ。。。」
歌で悩んでたときにの痛恨の一撃発言です。
でも僕はこの一言で
「どうして歌うのか?」
を問われた気がしました。


三、
実は先生に内緒でこっそり受けた、コンクールが同時に2つあります。
申込書には師事してる先生を書く欄がありました。
でも、なんだか気が引けて。。。
それで無記名で提出して、本選まで通過したら先生に事後報告しようと。
両方とも無事に本選に進み、その事をお話ししたら笑いながら
「お前はバカか。
何か悪いことしたわけじゃないんだから、書きゃいいだろうよ。
俺じゃ不満か?
本選は書いて出ろよ。
こうして俺に習ってんだろ?
俺の生徒なんだろ?
じゃあいいだろうよ。
それから必要があれば俺の名前使えよ。
でも悪いことには使うなよ(笑)」

当時、非常勤講師だった先生は新国立劇場、二期会と様々なところでタイトルロールをなさっていて、僕なんかが名前を書いたら、失礼になるんじゃないかと思っていたんですよ。
でもそれは逆だったのかもしれません。
一生懸命になって教授していただいたことを、隠していたことになるんですよね。
本当に今思えば、大変失礼なことをしたんだと。。。
直接謝りたいけれど、もうお忘れだろうな。



思いではまだまだ、
「ノースモーキング、プリーズ」編。
「新作の音取りを何故か手伝う」編。
「声が出なくなって、耳鼻咽喉科を紹介してもらう」編。
などがありますが、また別の機会に(笑)



直野先生、長い間お疲れ様でした。
また、ありがとうございました。



2013.3.19.大畑 理博
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